万歳悔ゆること勿れ

 今年の「10大ニュース」が話題に上るころである。10ならずとも“私の5大ニュース”として指折り数えてみては、どうだろう。年頭に立てた目標が実現して、その中に含まれていれば、充実した一年であったといえよう。
吉田兼好は「徒然草」で“わずかの時間を惜しむ人はいない(無駄にしている)”と指摘している。700年以上も前に生きた歌人の心には、周囲の人々の生き方が、そう映ったのだろう。
▼一文はこう続く。「無益の事をなし、無益の事を言ひ、無益の事を思惟して時を移すのみならず、日を消し、月を亘りて、一生を送る、尤も愚かなり」。人間はつまらないことで時間を浪費し、一生を過ごしてしまう。いつの世にも変わらぬ人生の落とし穴。「日を消し」とは至言だ。
▼“時”は誰にも平等に与えられている。が、どう使うかによって、何倍にも「日を生かす」ことができる。「一日で、永遠の価値を生むこともできる。一時間でも、運命を変えてしまう場合もある」とは、古代エジプトの格言だ。
▼明年と言っても、すでに始まっている。年末の一日の前進が、明年の勝利を生む。“翌年の計は師走にあり”ともいえようか。さあ、希望に燃え突き進もう「前進・勝利の年」へ。(広)


「一生空しく過して万歳悔ゆること勿れ」(御書P970 富木殿御書)