災いは口より出でて身を破る

 目覚ましを午前3時にセットして女子フィギュア「ショートプログラム」の生中継を見た。日ごろの実力以上の演技で笑みがはじける選手もいれば、実力を出し切れずうなだれる人もいた。何が4年に一度の晴れ舞台の明暗を分けるのか。
▼国会議員、とりわけ閣僚になれぬ野党議員の晴れ舞台はテレビ中継される予算委員会で質問に立つことだろう。初陣で脚が震えたという話を聞いたことがある。政府側をやりこめれば一躍ヒーロー。民主党永田寿康衆院議員も気負って質問に臨んだはずだが、練習不足のまま本番で大技に挑む粗雑さはなかったか。
▼問題の“堀江メール”の真贋(しんがん)論争では民主党の旗色が芳しくない。昨日の党首討論で白黒がつくかと思われた。眠さをこらえてテレビ中継に見入ったが民主党前原誠司代表は、ライブドアの問題を1番後回しにし、時間切れの尻切れとんぼに終わった。まさか、与野党が馴(な)れ合って、うやむやにする気ではあるまい。
▼権力は腐敗しがちだ。不正の疑いがあれば追及するのは野党の大事な役割だ。前原氏が指摘した資金の流れを特定するかもしれない銀行口座が存在するなら解明すべきだろう。だが「国政調査権を」と言う一方で、メールの真贋は脇に置き、では通らぬ。失敗したジャンプを採点対象から外して、と言えないように。
【2月23日付 日経新聞 春秋】


 新聞各紙、民主党の論調を見ていて、少し違うのではないかと違和感を憶える。
 永田議員は辞職を表明しているとのことだが、もしもメールがガセなら、武部幹事長の二男とはいえ一民間人を、確たる根拠もなく伝聞や憶測で国会の場で個人名を出したことに問題があるのではないか?
 まるで3流週刊誌と一緒ではないか。さらし者にしておいて、後はしらんぷりか?
 根底に国会議員は何をしても許されるという傲慢の現れではないか?