三つの鏡

 すっかりコロナ前に戻った混雑する通勤電車で、手鏡を見ながら化粧をする女性を時折、見かける。メイク中に急停車したら…と思ったりするが、自分の姿を鏡に映して見るさまは古から変わらない。
◆中国の名君とされる唐の第2代皇帝・太宗(李世良) と臣下の政治論議をまとめた『貞観政要』に"三つの鏡"の話がある。「銅で鏡を作れば、姿かたちを正すことができる。昔のことを鏡とすれば、国の興亡や盛衰を知ることができる。人を鏡とすれば、自分の良い点、悪い点を明らかにすることができる」(石見清裕訳注『貞観政要講談社学術文庫)。太宗は三つの鏡によって過ちを防げたとし、"人の鏡"として自らの非をいさめてくれる臣下を求めた。
◆また、「天下を安泰にしようとするなら、君主は必ずまず自分の身を正すべきである」と戒め、道理に外れる言葉によって、民衆から恨みの声、嘆きの声が上がり、国への離反が起こると説いた。指導者論の名著として日本でも読み継がれきた同書には"為政者は民衆を恐れよ"という考えが貫かれている。
◆あすにも衆院で開かれる政治倫理審査会。弁明する議員は誠実に語ってもらいたい。恐れるべきは野党の追及ではなく、国民の怒りである。(光)

 2024.2.27付 公明新聞 北斗七星
 まるで他人事のようであるが、与党である公明党はこの問題にどのように対応するのか国民に鋭く監視されていると知るべきである。
 お茶を濁すようであれば、一挙に国民の支持を失うであろう。