共感疲労

 災害映像 共感疲労に注意
 専門家「離れる時間持って」

 能登半島地震以降、テレビやらSNSでは倒壊した家屋や火災で全焼した市街地の映像が連日流れている。自分の事として災害を捉え、精神的につらくなる「共感疲労」に陥る恐れもあるが、専門家は「映像から離れる時間を持ち、気持ちを切り替えることが必要」とアドバイスする。
 災害時のメンタルケアに詳しい桜美林大の池田美樹准教授によると、共感疲労はショッキングな映像を見たり、つらい話を聞いたりして共感を覚え、心が疲れた状態をいう。「被災地は大変なのに普通の日常を送っていいのか」と自責の念に駆られ、後ろめたさを感じることもある。
 他者への思いやりが強い人や、過去の被災体験でトラウマを抱える人などが共感してしまいやすいといい、池田氏は「不眠や注意力低下のほか、腹痛といった消化器系の症状がある場合は専門医などに相談してほしい」と呼び掛ける。
 共感疲労を防ぐには、テレビやらSNSを見続けないことが重要で、他の用事をしながらの「ながら見」は、心の準備ができていない状態で惨状が目に入ることもあり注意が必要。不安を周囲に話すことや、災害は自分自身に起こっていることではないと意識することも大切という。

 2024.1.9付 公明新聞より