選択肢は二つ「立ち向かう」か?「退く」か? 

 「僕の悪口を言う声がいっぱい聞こえてくる。助けて」。恐ろしい形相で息子が突然、叫んだ。いつもと違う様子に、婦人は背筋が凍りついた。医師の診断は「統合失調症」。
▼不安で母の側を離れることができない息子。風呂に入る時でさえ、母はドア越しに「ここにいるから大丈夫」と声をかけ続けた。寝食を忘れ、夫婦で息子の回復を祈り続けた1年後、病状が落ち着いてきた。
▼その矢先、今度は娘が「右腕が痛い」と。「骨腫瘍」だった。母は過酷な現実の中でも前を見続けた。1年余で娘は退院。息子も発病して5年の今年、社会人としての一歩を歩み始めた。
▼婦人を支えたのは、池田名誉会長の長編詩「偉大なる母を讃う」だった。「心が強くあることが/自身の幸福の土台であり/家族を守り育む母の翼となる/だからこそ 母よ/徹して 強くあれ/断じて 負けるな
▼いかなる試練であれ、選択は常に二つである。「立ち向かう」か「退く」か。御書には「賢者はよろこび愚者は退く」(御書P1091 兵衛志殿御返事)と。苦難に挑む「一念の強さ」が勝利の扉を開く。
▼私たちの胸中には、どんな困難も打ち破る力が秘められている。そう強く確信し、一人一人が人間革命のドラマを綴っていきたい。(芯)