青年に語る08-10Vol.6

わが道を選ぶには まず頭上に輝く星を見よ(6/10)

アリベルト・A・リハーノフ

私の夢を実現した学会の歴史

 会長は、日本で築き上げた市民組織を世界へと拡大していきました。まさに私がかなえられなかった夢を成し遂げられたと率直に申し上げたいのです。
 創価学会は、市民社会の素晴らしいお手本です。思想を同じくする市民が集まり、学校を建設し、独自の新聞・雑誌を発刊し、地域で困る人々には支援の手を差し伸べながら、社会で活躍しています。
 1987年、私はソ連児童基金を設立しました。
 具体的な活動は、弱者(児童)を守り、国民を啓発し、真心の寄付を受け入れながら、病人や孤児など苦しむ人々に対する国民としての責務を果たすことでした。
 当時、我が児童基金は、クリミアに児童保養所、モスクワ郊外に児童リハビリセンターを持ち、300万部の新聞を発刊していました。さらに、児童を救済する活動拠点は、ソ連全土に誕生していたのです。
 ところが、設立後20年経った今、これまで創り上げてきたものの大部分が崩れ去ったのです。新聞や雑誌が奪われ、クリミアの保養地は取り上げられてしまったのです。何のためにでしょうか。それは、誰か一部の人間の私腹を肥やすためでした。
 一方、創価学会は、資本主義社会にあって、仏教思想を基盤にした精神の砦や心の安息地となりました。
 しかし、社会主義国家の中に生まれ、すべてが国民の共有財産だった児童基金は、ソ連崩壊とともに、国有財産制度が崩れ、その財産の所有権があいまいになりました。その後、良心も社会的責任感も持たない輩に奪われてしまったのです。
 まるで恐ろしい魔法の物語のようでした。たった一人の愚かな権力者が、狐のごとき側近に囁かれ、笛を鳴らして野獣を呼ぶのです。その野獣は毒々しい力を帯びて、鋭い爪で多くの人々の財産を奪ってしまったのです。
 ソ連という名の大国は、資本主義へと変貌を遂げたのではありません。財産もたやすく不法処分してしまう無秩序な国に転倒したのです。
 財産とともに道徳規範や精神性まで粉々に砕けてしまいました。私たちがこれまで積み上げてきたものは破壊され、現在もその破壊は続いています。今のロシアは、民衆のための国ではなく、選ばれた人のみが得をする国になってしまったのです。
 学会が築き上げてきた民衆自身が主役となる制度ができるまでには、私たちはまだまだ長い苦しい道のりを乗り越えなければなりません。ゆえに、私は池田会長を深く尊敬するのです。
 また、そこに、私の苦悩もあります。まさに、創価の歴史は、私が実現できなかった夢なのです。私は、いつもあらゆる機会に、そのことを赤裸々に語り続けています。池田氏が歩んできた困難な道のりには感嘆せざるを得ないからです。

大白蓮華 2008-10 P68〜P77 抜粋】