青年に語る08-10Vol.7

わが道を選ぶには まず頭上に輝く星を見よ(7/10)

アリベルト・A・リハーノフ

会った瞬間に意気投合

 私が会長と初めてお会いしたのは、トルストイ国際金メダルを氏に授与した時のことでした。当時、私は、会長のことはすでに十分知悉しているつもりでしたが、賞の由来となるトルストイに抱く氏の深い思いまでは知りませんでした。
 トルストイは、我々ロシア人にとって不滅の存在です。大変うれしいことに、授与の席上、会長は、世界文明の巨匠の一人としてトルストイを慕っていると語ってくださいました。また、式典会場となった創価大学のキャンパスには、見事なトルストイ像がそびえ立っているではありませんか。
 偉大な人物との出会いは、常に緊張の瞬間です。その偉大な人物とは、池田会長です。お互いの思想が、肝心な部分で一致するからなのでしょうか。自分の温めてきた考えが、異なる国、異なる文明の中で、自分が同志とも友とも慕う人に認めてもらえたからなのでしょうか。会長は、私の緊張を一瞬にして解きほぐしてくださいました。会長は私が想像した通りの人でした。一民族の枠を超えた地球規模の壮大な思想を持つ人でした。
 私たちには、外交辞令で慎重に触れ合う時間など必要ありませんでした。最初の握手を交わした瞬間からすぐに意気投合しました。言葉半分で、お互いを理解し合えたのです。
授与式の2時間後には、青少年のための対談集を編もうとの思いを分かち合っていたのです。
 私は、民族のアイデンティティーを守る重要な手段の一つが、広い意味での教育であると考えています。その思いは、池田氏との対談集に取り組んでいた時以来変わりません。
 私たちは対談集を「子どもの世界」と名づけ、思い出の糸をたどり、あたかも魔法のごとく、幼年時代に戻ることから始めました。これまでの生い立ちを振り返る中で、人間の成長や失敗、喜びについて、それぞれが人生で培った真理について語り合いました。
 もちろん難しい成長期に関しても論じ合いました。幼年期の葛藤、反抗期、自立の難しさなどにっいてでした。それと同時に、大人の責任についても触れましたが、これは今でも私たちが心を痛める問題です。池田会長が青年について語る時、感じることがありました。それは、その顔が父親のように慈愛に満ちあふれていることでした。青年をこよなく愛する会長の姿がそこにはありました。

大白蓮華 2008-10 P68〜P77 抜粋】