永田氏は小学生以下?

永田議員 自らけじめをつける潮時だ
 偽メールを取り上げた永田寿康議員に対する質疑が衆院懲罰委員会で行われた。改めて感じたのは、永田氏の国会議員としての資質である。一見して偽物と疑いたくなる材料に飛びついた思慮のなさ、裏づけ調査の不徹底、政治の信頼を損ねたことに対する責任感の欠如、けじめのつけ方、すべてが子供っぽい。
 情報仲介者とされる元週刊誌記者は「西澤孝」なる人物であることが永田氏の口から明らかにされた。西澤氏の弁護士は毎日新聞の取材に「(メール提供は)事実無根だ」と話している。両氏の言い分の食い違いは、近く行われる証人喚問で明らかになるだろう。
 真相の究明はさておき、失望せざるを得ないのは、政治への信頼が地に落ちているのに、政党や当事者らが本気でそれを取り戻す気概に欠けている点だ。
 偽メール問題が国会運営の駆け引きに使われ、与党は意図的に結末を長引かせる。民主党の検証チームは何をぐずぐずしているのか、事実関係の報告ができないでいる。当事者の永田氏もけじめのつけ方まで委員会任せで、本当に責任を感じているのかどうか、疑わしくなる。その結果、国会は本来やるべき仕事をそっちのけにして偽メール騒動に「没頭」するありさまだ。
 こんな政治状況が続いていいはずはない。国民生活にとっては、西澤氏が偽メールを渡した意図の解明よりも、耐震データ偽造問題をまじめに議論してもらう方がずっと重要なのだ。
 国会の権威を傷つけ、政治不信を招き、国会審議をつまらなくさせた第一責任者は永田氏だ。けじめのつけ方を問われると「身をただし、心を入れ替え、政治の信頼を回復できるように全力を尽くすことだ」と述べ、自ら辞職する意思のないことを繰り返した。
 しかし永田氏が信頼回復を口にするなら、国会の判断を座して待つより、速やかに自ら決断する方が早道であり、本人のためでもある。偽物を見抜けない当事者がこれ以上動き回っても事態は悪化しこそすれ、信頼回復への道はますます遠のくに違いない。
 その点で、前衆院議長の綿貫民輔氏(国民新党代表)の発言は示唆に富んでいた。綿貫氏は2点諭した。一つは、国会の権威、品位をおとしめたのだから、武部勤自民党幹事長のみならず衆院議長、予算委員長にも謝罪しなければならないと指摘した。
 2点目は「委員会審査を待つことなくいさぎよく出処進退を明らかにすべきだ」と促した。綿貫氏が言外に言いたかったのは、次のようなことではなかったのか。
 国会は議員を懲罰に付す権限を持つ。しかし国民が選んだ議員を辞めさせる権能はもてあそぶべきでない。規則はあってもむやみに使わないのが国会の品位だ。それをいいことに議員にしがみつく永田氏の姿勢は逆に国会の品位を傷つけている。「小学生ではないのだ。一人前の国会議員として自覚を持て」(綿貫氏)の言葉を、永田氏は重く受け止めてほしい。
【3月25日付 毎日新聞 社説】