「前例がない、だからやる!」

 「前例がない、だからやる」。約20年前、アサヒビールの再建へ、当時の社長・樋口廣太郎氏が掲げたモットーである(『人材論』
▼業界でのシェアは1ケタ台。経営状態は、どん底。そうしたなか、若手技術者が「辛口ビール」の商品企画を提案した。従来、ワインや日本酒にしかなかった「辛口」の概念。幹部からは「世界にも前例がない」と、反対意見が相次いだ。
▼若い彼らは引き下がらなかった。「前例がないからこそやらせてほしい」。その後も意欲的に研究を重ね、ついに新商品が完成。業界トップの販売の原動力となった。
▼技術者たちの熱意、執念が「前例がない」道を切り開いたと言えよう。“誰もやったことがないなら、自分がその最初の一人となろう”。その燃ゆるがごとき心意気が、惰性や限界の壁を破る。
▼世界に広がる創価の前進も、「前例がない」ゆえに、無理解や偏見にさらされてきた。それでも、草創の先輩方は歯を食いしばり、懸命に広布の道を開いてきた。その尊い足跡を決して忘れてはならない。
▼「つるぎなんども・すすまざる人のためには用る事なし」(御書P1124)。過去の自分を乗り越える勇気の信心で、前例のない“民衆勝利の歴史”を開こう。(馨)