「温かい人」になる「心の勉強」を

―― 阪神・淡路大震災のとき、学者とか役人とか政治家とか、いわゆる「偉い人」の冷たさというものを、みんな、すごく感じました。「人間の命を何だと思っているんだ」と叫びたくなるような場面が、いっぱいありました。

 SGI会長:「自分は、人より偉い」と思っている人間は、そう思っている分だけ、「マイナス人間」なんです。ところが、社会的に地位がある人ほど、心の中で、そう思っている人が多い。
 多くの場合、医師は、患者よりも自分が偉いように錯覚する。政治家も、国民より自分が偉いように錯覚する。法律家も、そうです。学者は、自分の専門のこと以外は、しろうとなのに、自分がほかの人より偉いように錯覚する。自分が食べるお米も作れないくせに、農家の人より自分が偉いように錯覚する。そういう「人間を見くだす人」が高い地位にいるのでは、いつまでたっても、社会はよくならない。その間違った考えを、ひっくり返さなければならない。
 人を差別するなら、何のための医学なのか。何のための政治なのか、法律なのか、学問なのか。ちょっとばかりの知識を鼻にかけて、人を見くだすような人間を、つくってしまったら、大失敗です。「人の心を大切にする」人をつくるための勉強であり、学校です。それが「心の勉強」です。「頭の勉強」だけではなくて。
 私は、みんなに「温かい、親切な人」になってもらいたいのです。どこまで大きく、優しいのか、底が知れないくらい深い愛情をもった人になってもらいたい。
 勉強すればするほど、心が耕されて、そういう人間になっていくのが、本当の学問です。勉強すればするほど、「冷たい人間」になるのでは、何にもならない。何も学んだことにならない。

【グラフSGI 2009年1月号 青春対話 希望対話65 より】