介護は親からの最後のプレゼント

  <母一人、子一人、その母が認知症になって6年。今まで、「自分さえ我慢したら」とがんばってきました。しかし、自分のストレスも体力も限界がきました。性格上、殺人は無理。毎日死ぬことばかり考えていました。でも今、みんなが今より幸せになる方法を探しています>
◆社団法人「認知症の人と家族の会」が作成したリーフレット「死なないで 殺さないで 生きようメッセージ」にあった話(男性、41歳、長野県)。 「みんなが今より幸せに」との見出しが付いていた。
◆介護の当事者は、さまざまな悩みを抱える。末期がんで認知症の母の介護と、仕事の間で悩んでいた友人が、母に昔の思い出話をやさしく語り掛けたら、とてもうれしそうな表情になった、それがいまだに忘れられないと話してくれた。
◆聞いていて、朝日新聞の連載「あなたの安心」 (介護、離れて近く)で目にした「介護は人間を学ぶという、親からの最後のプレゼント」という行を思い出した。本紙連載「女性と介護のこれから」では樋口恵子さんがこう言っていた。
◆「介護は人類が試行錯誤を経てたどりついた最も人間らしい営みです。子育ては他の動物も命がけで行いますが、介護は人間しかしません」。深く印象に残る言葉。勇気をもらった気がした。 (六)

【6月11日付 公明新聞 北斗七星】