「愛情の経済」

 「母は私の"先生"でした」
 ――博士はうなずいた。
 懸命に家庭を支え、地域に尽くした、自慢の母。将来は「母のようになりたい」と思っていた。だが、本来、父と母は対等のパートナーであるはずなのに、男性優位の風潮では、母の働きは価値なしと見なされていた。
 「こんなばかげたことはない――私は、そう感じてなりませんでした」
 この母への思いが、「愛情の経済」の発想へつながるのである。
 今や、博士の思想に時代が追いついてきた。ただし、そこには、経済の維持・成長に女性を「利用する」という発想ではなく、「女性の幸福」そのものを目的とする哲学が不可欠になるだろう。
 SGI会長は博士に語った。
 「思想が乱れ、時代が乱れる。その犠牲になって、最も苦しんでいるのは、女性であり、子どもである。この人たちを大切にせよ 幸福にせよ――それが仏法者の心です」「女性と子どものせいめいが最も光り輝いてこそ、平和があり、共生があり、幸福があり、和楽があり、希望があり、価値の創造があるのです」

 2015.10.21付 聖教新聞 【明日を求めて】 SGI会長の対話録Ⅱ
 第13回 アメリカの未来学者 H・ヘンダーソン博士 より抜粋