苦難に負けない勇気

 "人生の壁"を乗り越えた二人の信仰体験を聞いて思ったことがある。一人は、C型肝炎を劇的に克服した壮年。もう一人は、妻を病気で亡くすが、広布の後継者としての子どもを残してくれた妻に感謝し、勝利を誓う男子部の友。
▼共通するのは、苦境に直面したとき、「信心しているのになぜ?」との思いがわいたこと。当然の疑問といえるが、仏法を学ぶ二人は、周囲の激励もあって、揺れ動く気持ちを一掃、頭を上げて苦難に立ち向かった。
日蓮大聖人は、御書の中でこうした疑念をあえて取り上げている。「現世安穏」を説く仏法なのに、法難に遭うのはなぜか、と。その答えとして、正しい仏法を実践すれば、難が起こることを説き、大事なことは、いかなる難にも負けず、信心を貫くことだとご教示されている。
▼「大兵を・をこして二十余年なり、日蓮一度もしりぞく心なし」(御書1224ページ)とは、大聖人の闘争の人生を象徴している。今を盛りと咲き誇る桜も、風雪の日を味わっているように、苦難のない人生などない。大切なのは、その時、退かない「勇気」だ。
苦労があるのが不幸ではない。苦労に負けないことが肝心だ。苦労を糧として強く生き抜くところに幸福の実像はつくられる。(弓)