童謡「ぞうさん」の真相

 「ぞうさんぞうさん/おはなが ながいのね/そうよ/かあさんも ながいのよ」(まど・みちお作詞 團伊玖磨作曲)。だれもが知っている童謡「ぞうさん」である。
▼昭和27年に発表され、童謡としては珍しい三拍子。仲むつまじいゾウの母子と、それを動物園に見に来た人間の母子の仲良しの歌…。が、実はそうではないらしい。作詞したまど氏によれば、子ゾウが悪口を言われた歌だそうだ(『まど・みちお――「ぞうさん」の詩人』河出書房新社)。
▼他の動物から見たら、鼻が長い君はおかしいと。しかし、子どものゾウは、しょげたり怒り返したりせず、「大好きなお母さんも長いのよ」と朗らかに切り返し、それを誇りにしている歌だという。平和でゆったりしたスローワルツの曲は、そんなたくましさを秘めていた。
▼朗らかな人は、周りに安心を与える。その人は、心の中に毅然と誇れる“何か”をもっているからだろう。世間の評判などを恐れず、卑屈にならず、妥協せず、正々堂々と思うことを主張する強さが、朗らかさを生むのだと思う。
▼ある新入会の友は、学会の明るさが印象に残ったと語る。心に、人間革命の信仰を持ち、尊敬する師匠がいる。その誇りが、多くの人々を引きつける。(申)