ありがとうの一言が広布を前進

 今年は、周恩来総理の没後30周年。常に人民を思いやる生涯だった。ある時、総理の搭乗機が中国国境へ。そこは標高4000m以上の山奥。管制塔があった。だれが気付かなくても黙々と働く人々がいる。総理は、励ましのメッセージを打電した。
▼総理就任後に居を移した折、すり切れた古いカーテンを見かねた側近が、新しいカーテンに取り換えた。総理は「いまの中国は貧困のどん底にある。自分の家を直す材料があるのなら、もっと他に必要としているところがあるはず」と、もとのカーテンに戻させたという(周爾均著『周恩来の闘い、愛』)。
▼広布の活動では、日常さまざまな人と接する。食事を取る時間もなく、職場から会合に直行してくる友。家事をやりくりし、子どもを抱え、家族の面倒を見ながら活動に汗を流す婦人。
▼皆が尊い存在である。その行動を「ありがたい」と思うか、「当たり前」と取るか。微妙な一念の差は大きい。とりわけ広布のリーダーは、他人の労苦を鋭敏に感じ取れる人でありたい。「ありがとう」。その一言が広布を前進させる。
▼見えない労苦を思いやる想像力。そこには、自らの成長と人間関係を豊かにするカギがある。ひいては、人と人の争いを解決する力がある。(広)