太陽には太陽の輝きが

 知的障害児の教育に携わる婦人部の方に伺った。その道26年、表彰も受けているベテランの彼女も、最初は戸惑いの連続だったという。転機はある行事を通してだった。
▼「市民参加の集いに、ぜひ子どもたちの演目を」との誘いが。それまで市民との交流や人前で演じるなど、思いもよらなかった。
▼練習を始めたが、飽きて小道具を投げたり、同じ動きを繰り返したり。「やはり無理」との指導員も。彼女は「この子たちを信じましょう」と訴え、児童の良い所を徹してほめた。それがやる気を引き出した。
▼本番では見事な演技に大拍手。子らは舞台のそでに戻ると目を輝かせ、「今度はいつ演技するの!」と。以来、指導員に“できないだろう”ではなく、“可能性を信じ、何事にも挑戦を”との意識が高まった。
▼最近、「自分に自信が持てない」人が増えているという。大切なのは自他共に、一人ひとりに内在する無限の可能性を信じることだ。そこから苦難に負けない強さも、人を思いやる温かさも育まれる。
▼スイスの教育者ペスタロッチは、「太陽には太陽の輝きがあり、月には月の、そして星々には星々の明るさがある」と。
 人と比べるのではなく、自分を信じ、自分らしく輝くなかに充実の人生はある。(心)


「桜梅桃李の己己の当体を改めずして」(御書P784「御義口伝 下」)