自分らしくやったら

 「技術的な面で悩んだとき、妻の『自分らしくやったら』という言葉をきっかけに、自分の長所を伸ばそうと考えを改めました」――先ごろ「チャレンジトーク」に登場した長野五輪スキージャンプの金メダリスト・原田雅彦さんは言う。
▼原田さんのジャンプは、飛び出しが高いのが特長である。時速90キロにもなる助走のスピードを生かすには、低く飛び出し、後半のフライトの浮力をつけるのが理想。高い飛び出しはこれに反するが、原田さんの場合、力強いジャンプで距離を伸ばして、勝利を収めてきた。
▼その持ち味を、周囲が伸ばしてくれたという。「お前は、このままじゃだめだ」と言って自分の型にはめこもうとしたコーチは一人もいなかったと述懐する。そうして育んできた自身の“強み”を、思い出させてくれたのが、冒頭の一言だった。
▼スランプに陥ると、自分の欠点にばかり目を向けてしまいがち。それが、かえってスランプを深めてしまう場合がある。そんなときは、原点に返り、自分の長所を思い起こし、朗らかに前進することだ。
▼限界に挑戦する人は、自分の強みを引き出すことができる。仏法は「桜梅桃李」を説く。自分を信じて、自分らしく幸福の道、勝利の道を力強く歩み抜こう。(攻)