殺されてもせぬ事

おもしろい記事を見つけました。

 スピーチとスカートは短いほどいい、と誰かが言っていたが、家訓、社是の類(たぐい)も同じである。みちのくの小京都、秋田県は角館にある「新潮社記念文学館」を先週末訪ね、その思いを深くした。

 一、良心に背く出版は、殺されてもせぬ事。
 一、どんな場合でも借金をしない事。
 一、決して約束手形を書かぬ事。

 簡にして要を得る3カ条は、創業した新潮社を国内屈指の文芸出版社に育てた角館出身の佐藤義亮(1987〜1951年)が定めた社則だ。前身の出版社「新声社」を売り渡す苦汁をなめ、再起をかけた資金が盗まれる辛苦を味わいながらも、佐藤は新潮社設立に際して、胸に刻んだ出版人の本懐を短く、まず第1条に掲げた。
 郷里を愛した佐藤は、新潮社から出したすべての書籍を角館の図書館に寄贈し続けた。その意思を継いで新潮社は今なお、全書籍を毎月、角館に届けている。総冊数は約1万9000冊。
 「出版界の巨人」が新潮社で再出発を期したのは、103年前の5月10日のことである。【桜井茂】

【5月9日付 毎日新聞 憂楽帳より】
今の新潮社を見て創立者佐藤義亮氏はどのような思いだろうか?と、ふと思った。