最後まで挑戦し続けた人が勝つ

 自走車、機械式の翼、旋回橋……ルネサンスの巨人レオナルド・ダ・ヴィンチの発明のスケッチは、500年の時を経た今も、新鮮な驚きと感動を人に与えている。そこに苦闘の跡が、うかがえるからだろう。
▼彼が綴り残した手稿は絵画、建築、天文、解剖など万般にわたる。その数は、現存するだけでも8000ページにも及ぶという。「純金は火によって精錬される」(杉浦明平訳)と、嫉妬や批判にも腐らず、自分の道を真っすぐ歩んだ。一枚また一枚と、ひたすら描き続けた。たぐいまれな才能も、その努力の「根」のたまものである。
▼中国の有名な故事に「竜門の滝」がある。滝の激流を登りきった魚が竜になるという話である。困難を突き抜けた人、最後まで諦めずに挑戦し続けた人が勝つとの意。途中、どんなに頑張ったとしても、貫かなければ何事も成し遂げられない。
▼一回の会合や家庭指導で、目覚ましく成長することは少ない。が、目には見えない生命の大地に、幸福の「根」は着実に伸びているのだ。だからこそ、友の幸せを確信し、真剣勝負の対話に挑みたい。
▼人材育成とは、相手の可能性を信じ抜き、かかわり続ける持久走。行く手には、自他共の“勝利のゴール”が待っている。(高)