2009.02巻頭言

地域ルネサンスの一番星と光れ



 偉大なる
  如来の使いと
      休みなく
  この地も霊山
     この地も佛土か

 「木は、土の中で根っこを伸ばすとともに、空高く向かって成長する」と、アフリカの環境の母マータイ博士は語られた。
 大地に深く根を張ってこそ大樹となる。人も組織も同じである。根無し草では、時代の激流に押し流されるだけだ。いかなる嵐にも揺るがぬ根―― それは地域という最も身近な大地に張られる。
 私たちの師匠であられる戸田城聖先生は、よく言われた。
「大事なのは足元だよ。足が地についていなければ、観念だ。何があっても浮き足立つな妙法の旗を高く掲げ、地域の大地にしっかりと立つことだ。地域を盤石に築いた者が勝者となる」
 来る日も来る年も、わが誉れの友は誓願の地域で、人間の輪に飛び込み、対話を重ね、信頼を広げる。どんなに離れていても、いつも私の心に光っているのは、最前線の尊き同志の方々である。


 諸々の
  衆生の為にと
      労苦せる
  慈愛の命は
      喜悦の命に

 開目抄には、「此の土を穢土ととかれしを打ちかへして此の土は本土なり」(御書P214)と仰せである。今いる、その場所を嘆くのではない。この地域こそ使命の「本国土」である。自らの戦いで、勝利の「寂光土」に変えてみせるのだ。これが本門の人生である。
 日蓮大聖人は、信頼される在家の弟子に仰せになられた。
 「釈迦仏・地涌の菩薩・御身に入りかはらせ給うか。其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ」(御書P1467)
 地域の広宣流布は、御本仏から直々に任じられた大聖業である。ゆえに、異体同心のわが支部、わが地区、わがブロックにこそ、大法弘通への仏の智慧と力は、脈々と流れ通っていくのだ。地涌の人材は必ず躍り出る。諸天の加護は厳として現れゆくのだ。
 さらに地域部、団地部、農漁村部、離島部の皆さま方をはじめ、創価の友の誠実な社会貢献は、地域の希望と安心の灯台である。


 美しき
  この地守らむ
      人の和で
  長寿の誉れと
      幸の花にて


 先日、ハーバード大学医学部のクリスタキス教授らの研究が発表された。それは「幸福感は伝播する」という洞察である。二十年間にわたり約五千人を調査・分析した貴重な成果である。
 一人が幸福を感じると、その幸福感は友人から友人へと、さざ波の如く広がる。たとえば幸せな隣人がいると、幸福を感ずる可能性は34%も増加する。幸福な空間は杜会的なネットワークによって広がりゆくことが、科学的にも裏づけられたのである。
 世界経済を覆う不況は深刻だ。人心の荒廃も憂慮されている。だからこそ、その地域で、創価の信念の賢人が、勇敢に一人立つことが、どれほど大いなる勇気と喜びを広げゆくことか。とりわけ、帰人部、女子部の正義の祈りと励ましのスクラムほど、尊いものはない。
 「百の説法も、百冊の本も、妙法を持った一人の女性の生き生きとした姿には、絶対に敵わないのだ」と、恩師は断言された。
 「偉大なる人々の心は地上の星である。もし我らの地球を上から跳めるならば、それらの心が空の星のごとく燦然と輝いていることであろう」と謳ったのは、ドイツの大詩人ハイネである。
 闇が深いほど、わが地域から「心の光」を強めゆくことだ。
 子どもの安全や少子高齢社会の支え合いなど、地域の役割は一段と増している。明るく声をかけ合い、心を結び合う創価の生命尊敬の世界こそ「地域の繁栄の宝」と、多くの識者が期待される。
 ブラジルのサンパウロ州で開催された創価創立記念日の慶祝議会で、文化教育機関のクチアロ会長は宣言してくださった。
 「私たちの未来は、創価学会がさらに発展し、学会のような組織が世界のあらゆる地域に広がるかどうかにかかっています
 「地域のルネサンス」から「地球のルネサンス」へ 一歩一歩、大地を踏みしめて、人間勝利の金波また銀波を起こしゆこう!


 勝利城
  あの地この地に
        全世界
  築きし功徳は
      不滅なるかな