真の楽しみは苦しみの中にある

「困ったという一言だけは断じて言うなかれ」。それが、彼の信念だった。
 困ったと嘆いて立ち止まっていても、何も始まらない。前へ踏み出してこそ、人生も時代も動きだす。「人間、窮地におちいるのはよい。意外な方角に活路が見出せるからだ」「私は知る 真の楽しみは苦中にあると」
 こう語ったこともある。「戦いは一日早ければ一日の利益がある。まず飛びだすことだ、思案はそれからでいい」と。
 彼の名は高杉晋作。幕末の思想家・吉田松陰の愛弟子であり、動乱期の長州(現在の山口県)に現れた希代の志士である。

 2021.10.30付  聖教新聞
 「HEROES 逆境を勝ち越えた英雄たち」
    第13回 高 杉 晋 助 より