“あきらめ”か?“挑戦”か?

 ジンベイザメやマンタが悠々と泳ぐ姿を間近で見られる「沖縄美ら海水族館」。この巨大水槽を作った会社の挑戦のドラマが、11月号の「潮」に紹介されていた。
▼幅22.2メートル、高さ8.2メートル、厚さ60センチのアクリル板は、7枚を接着。継ぎ目は全く分からない。1960年代、水族館といえば、窓のような小さなガラス面が並んでいた。ある時、直径10メートルの回遊水槽をアクリルで作れないかとの相談が寄せられた。
▼「誰もやったことがない。リスクが高い」と反対の嵐。だが、創業者は、“誰も真似できないものを”との信条を胸に挑戦。多くの困難をバネにして、ついに巨大水槽を作りあげた。
▼「知恵は無限だ。人間は王者だ。人生はドラマだ。苦労を惜しまぬ人間に、不可能はないんだ」とは、松下幸之助氏の言葉である。ともすると人間は、“できない理由”ばかりを考えがちだ。それを打ち破るのが勇気であり、情熱であろう。
▼松下氏はこうも語っている。「人間も団体も、あらゆるものは無限に成長できる」と。労苦を積み重ねてきたなかで得た、大確信の言である。何事も困難にぶつかった時が勝負だ。“あきらめ”か、“挑戦”か。心の壁を打ち破った、その先に勝利があることを忘れまい。(心)