離婚は地球温暖化の一因?

読売新聞に「そうなん?」というコラムがありましたのでUPいたします。

  森鴎外の小説「雁」で、薄幸のヒロインお玉の父親が昔語りをする。女房は産後ほどなくして亡くなり、「一人口は食えなくても二人口は食えるなどと(再婚話を)親切にいってくれる人もあったが」、寡夫で通したと、
◆「一人口」は独り者の生計を、「二人口」は夫婦の生計を指し、食える、食えないは、慣用句の辞典にも載っている昔ながらの言い回しである。
◆離婚の増加も地球温暖化の一因になっているという分析結果を、米国ミシガン州立大学の研究者がまとめた。少人数の家庭が増え、資源の利用効率が悪くなるという。二人口が食えるのも利用効率がいいからで、それはそうだろう。
◆離婚の影響で増えた米国内の電力消費は1年間で原子力発電所6基分にあたる、という試算も示されている。「離婚のような環境に悪影響を与える生活スタイルにも目を向けて対策を」と研究者は語る。
◆お説ごもっともながら、離婚する人にはそれぞれの事情があり、心の痛手と生活の不安も抱えている。「賞罰にバツイチと書く律義者」というサラリーマン川柳があったが、環境悪化の加担者という烙印(らくいん)の罰まで負わされるのは、気の毒な気がしないでもない。
◆去りゆく人の背に昔のヒット曲名をもじり、「二人口は世界のために」と説いて効能があれば、それに越したことはないけれど。

【12月5日付 読売新聞 編集手帳より】