青年に語る08-10Vol.2

わが道を選ぶには まず頭上に輝く星を見よ(2/10)

アリベルト・A・リハーノフ

真のリーダーの要件とは

 さまざまな宗教や倫理について、いくら論じても、リーダーがいなければ、偉大なる事業を成し遂げることはできません。
 リーダーとは単に、なすべきことを心得て、上に立って指揮を執る人のことを言うのではありません。リーダーとは何よりもまず、自身の思想を深く確信している人でなければなりません。いや、それだけでも不十分です。真のリーダーとは、皆の先駆を切る存在なのです。
 リーダーは、常に思想に尽くし、思想を教え広める人です。つまり、一兵卒でもあり、指揮官でもあるのです。ここでいう指揮官とは、一介の忠実な兵士から経験を積み上げてきた人のことを言います。思想に対する忠誠心こそが、一兵卒にも指揮官にも不可欠な要件なのです。
 ところが人類の歴史を振り返ると、そうしたリーダーの要件に反した指導者があまりにも多いのです。
 特にロシア近代史に顕著です。リーダーたる器に欠ける不誠実な人間が指揮官となって、右往左往して方針を次々と変えては、周囲を撹乱しました。結局、偶然、転がりこんできた大役をまっとうすることができず、歴史の舞台から姿を消す。そんな歴史です。
 「軽率な行動」と「小さな器」――これらは、皆の先駆を切ることになった人間を襲う二つの危険です。自身の努力と思想に対する忠誠心で、その危険を克服した者は、リーダーとしての資格を手にします。一方、思想への忠誠心なき者は、その危険を乗り越えられず、運命の嘲笑に晒されるのです。

大白蓮華 2008-10 P68〜P77 抜粋】