青年に語る08-11Vol.3

ヒマラヤ山脈は高しといえども頂上あり
             池田哲学は限りなく高し(3/7)

陳  暁 春

五つの徳と「春夏秋冬」

 名誉称号の授与式の開始5分前、池田先生に初めてお会いしました。
 私が「池田先生を周総理のように尊敬しております」と述べると、「日本に留学されていたんですね」と池田先生の方から手を差し出され握手をしてくださったのです。
 授与式は、創価大学の入学式を兼ねて行われたわけですが、入学式での池田先生と新入生とのやりとりを見て、すっかり魅了されてしまいました。この入学式に参加して、池田先生が「仁義礼智信」の五つの徳をすべて兼ね備えた偉大な方だということを心から実感しました。
 「仁義礼智信」――これは儒教に説かれる言葉で、「仁」は春を表し、「義」は夏を、「礼」は秋を、「智」は冬を、そして「信」は大地を表します。
 「仁」――池田先生からは"春"のような温かな励ましを感じます。挨拶させていただいた時の感動は忘れることができません。
 また、池田先生は「善いこと」に関しては春の温かさをもって讃えます。入学式の日の早朝、正門に立っていた教員がいたことを紹介され、「この真剣さがあるかぎり、大学は必ず発展する」と褒め讃えられていました。
 「義」――学生に対する期待を、池田先生の"夏"の太陽のような熱い眼差しから感じました。
 そして、「謂う勿れ、今日学ばずとも来日(明日)有りと」との中国の大哲学者・朱子の言葉を通して、「徹して学べ」と情熱を持って語られていました。
 「礼」――池田先生の尽くす礼は"秋"のようです。なぜ礼が秋なのか。秋には果実が実ります。果実を食べると甘さを感じるように、先生の尽くす礼は人の心に芳醇な香りを与えます。
 わが大学からは代表4人が訪日しましたが、先生はお忙しい中、4人のためだけに時間をつくり会ってくださいました。そして、4人一度にではなく、一人一人の手を取り挨拶してくださいました。
 さらに池田先生は湖南大学の桜を植樹してくださいました。この桜のごとく、中国と日本の友好、湖南大学と創価大学の友誼の花を咲かせていこうと決意しました。
先生の一つ一つのご配慮はまさに秋のような豊かさを、私たちの心にもたらすのです。
 「智」――池田先生は、物事を"冬"のような鋭い正視眼で見られています。先生が「智者」と呼ばれるゆえんです。
 かつて日本軍は湖南省を攻めました。先生はかつて、スピーチの中で、非道な日本軍の悪逆を、日本人の一人として心の底から深謝されました。戦争に対する先生の強い信念を感じる。と共に、悪に対しては冬のごとく厳しく対処されていると感じました。
 入学式の際にも、「『建学の精神』に反するような教員が出たならば、学生も黙っていてはいけない。明快に正義と真実を叫び切ってもらいたい」と厳しく指導されていました。
 「信」――池田先生が学生に語りかける時、先生が学生を心から信頼していることを感じました。なぜ信が"大地"かと言えば、大地は水と植物をつなぎます。人間と人間は信頼でつながるのです。
 私が宿舎に到着した時には、先生から花と果物とメッセージカードが届いていました。学会の研修道場や創価学園などに行った時にも先生からのご伝言が届き、行く先々で先生の信頼を感じました。
 「仁義礼智信」池田先生はこの五つの徳を兼ね備えた偉大な哲学者であり、活動家であり、芸術家であり、そして人間学の大家であります。

大白蓮華 2008-11 P66〜P73 抜粋】