利他のすすめ チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵
作者:大山泰弘
出版社/メーカー:WAVE出版
発売日:2011/04/22
<カバー表紙裏>
人生とはシンプルなものだ――。
この世に生を受け七十八年。
自らの人生を振り返ったときに、しみじみそう思います。
「利他のこころ」で生きれば、必ず幸せになれる。
これに尽きるのです。
<はじめに より抜粋>
ひょんなきっかけで、二人の知的障害をもつ少女を雇用することになったのです。
当初は、それが人生を変える出会いだとは露ほども思いませんでした。ちょっとした"同情心"のつもりだったのです。
しかし、彼らとともに働くなかで、私は少しずつ変わっていきました。
「人はなぜ働くのか?」「人の幸せとはなにか?」といった根源的な問に向き合うようになるとともに、徐々に障害者雇用に本腰を入れるようになったのです。
「18の知恵」の最初の2つを簡単に紹介します。「第1章 何千年たっても変わらないこと より抜粋」
1 お釈迦さまの知恵。
祇園精舎に周利槃特という人がいました。
この人は何を聞いても忘れる人で、自分の名前すら忘れるほどでした。今であれば、「知的障害者」と呼ばれていたかもしれません。
―略―
摩訶槃特(周利槃特の兄)が、「お前がいては迷惑がかかるばかりだから、ここを去れ」と言って、周利槃特を祇園精舎から追い出してしまったのです。
途方に暮れた周利槃特は、門の外でただひとり泣くばかりでした。
しばらくすると、そこをお釈迦さまが通りかかりました。周利槃特に目を留めたお釈迦さまは、そっと近づいてこう語りかけました。
「お前にはお前の道がある。明日からこの言葉を唱えながら掃除をしなさい」
そして、「塵を払わん、垢を除かん」という言葉と箒を与えたのです。
祇園精舎に連れ戻された周利槃特は、来る日も来る日もこの言葉を唱えながら箒で掃きつづけました。
はじめは、誰もその姿に見向きもしませんでした。
しかし、時がたつにつれ、ひとりまたひとりと周利槃特のもとを訪れる人が増えていきました。その一心に掃除をする姿が尊く、思わず手を合わせたくなるほどだったからです。
そして、お釈迦さまは無言で説法できる者として、周利槃特を修行最高段階の地位といわれる十六羅漢の一人に選んだのでした――。
2 人間の究極の幸せ。
人間の幸せは、ものやお金ではありません。
人間の究極の幸せは次の四つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
障害をもつ人たちが働こうとするのは、
本当の幸せを求める人間の証なのです。
この本で紹介されている「18の知恵」の全てが、学会の中で学ばせていただいたものである。
何故か、そのとおり、そのとおりと、感動し、ずっと涙を流しながら読んでいた。
御書には「すりはむどく(須梨槃特)は三箇年に十四字を暗にせざりしかども仏に成りぬ」
(三三蔵祈雨事 御書P1472 L4)等と、数ケ所に須梨槃特が登場する。