今も残る名せりふがある。「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」。22年前公開された連続テレビドラマ『踊る大捜査線』の劇場版の1シーンだ。
◆猟奇殺人と警視庁副総監誘拐事件、署内での窃盗が起こった3日間を描いた映画。せりふは織田裕二扮する湾岸署の刑事が捜査を仕切る警視庁幹部に放った。興行収入は当時、邦画1位を記録。今も歴代ベスト10に入る大ヒット作品である。
◆解決の鍵が現場にあるのは、事件に限るまい。東京都は5月6日まで「ステイホーム週間」と名付け一層の外出自粛を求める一方、買い物を3日に1回程度に控えるよう要請。3月の連休前から外出自粛を強く訴えてきた大阪府は休業要請に応じぬパチンコ店名の公表に踏み切った。
◆一定の効果か。25日の主要駅周辺の人出は感染拡大前に比べ軒並み減少。東京・新宿駅は78.9％、大阪・梅田では84.9％も減った。ところが府が名前を公表した一部パチンコ店では客が押し寄せ密集状態に。コロナとの戦いは一進一退である。
◆かつて、アポロ計画を進めていた米航空宇宙局を訪問した大統領に、一清掃員が「私は人類を月に送るお手伝いをしています」と語ったという（日経）。崇高な目標は国民を団結させる。「あなたも貢献できる。人の命を守れるのです」。ある医師の言葉である。（田）
2020.4.28付 公明新聞 「北斗七星」より
