二つの生き方

 植物は動くことができない。種子が落ちたのが、どんな場所であろうと、その場で一生を終えるしかない。そんな植物は、二つの生き方を両立させている。
▼一つは、自らが生息する環境の条件など、変えられないものは「受け入れる」。もう一つは、自分の体や成長の仕方など、変えられるものは「変える」。特に「雑草」と呼ばれる草花は変化する能力が高く、茎を縦に伸ばすか、横に広げるか、臨機応変に、したたかに成長するという。(稲垣栄洋著『「雑草」という戦略』日本実業出版社
▼建設会社に勤める壮年部員を試練が襲ったのは、リーマン・ショックが起こった2008年。世界的な金融危機の嵐によって、会社は経営破綻寸前にまで追い込まれた。絶体絶命の中で、壮年は“信心で乗り越える!”と腹を決めた。
▼改めて顧客に誠実に接し、信頼を積み上げた。学会活動を一歩も引かず、地区部長として奮闘を重ねた。やがて、会社は金融危機の影響を乗り越え、発展の軌道を進んでいる。
▼池田先生は長編詩「雑草」に詠んだ。「秋霜にも慄えず 不撓の意志と 天性のしなやかな反発力をもって かれは愉快に生きぬく」。いかなる逆境でも、“今、ここで勝つ”と決めた人には、苦闘も成長の因となる。(子)

 2023.7.28付 聖教新聞 名字の言