こんげつの種
どうしたら、この友を励ませるだろう」「どうしたら、あの友が笑顔になるだろう」、さらに「どうしたら、こうした難題を打開できるだろう」
──真剣に、祈り、悩み、学び、智慧をしぼって行動していく。そうすれば、真心は必ず通じます。道は開かれます。
(未来ジャーナル2016年6月号「未来の翼 世界が君を待っている」)
「法華経の将軍学」で勝て
長い人生の戦いにあって、途中には幾多の苦難がある。壁にぶつかる時もあろう。思いもよらぬ難関が立ちはだかる。だが、我らには「法華経の兵法」がある。ゆえに迷いなく、定めた決勝点を目指して、辛抱強く力走するのだ。
◆「大阪の戦い」にあっては、毎朝、勤行のあとに、御書を真剣に拝し合い、皆の勝利への一念を合致させていった。不可能を可能としゆく「法華経の兵法」「妙法の将軍学」を心肝に染め抜いた。「絶対勝利」の活力を満々と漲らせて、皆が最前線に躍り出た。そして、勇敢に道を切り開いていったのだ。
◆目先の策や戦術などに振り回されてはならない。私たちは、どこまでも強盛なる祈りで勇気と智慧を湧きいだすのだ。常に御書を裏づけとし「法華経の将軍学」を正しき羅針盤として最高の作戦と行動で共戦の宝友を牽引していくのだ。
◆行き詰まったら、まずは題目をあげることだ。祈って、最高の智慧を湧きいだす。そして行動していく。乗り越えられない困難など、絶対にない。
◆行くところ向かうところで、一人から一人へ、勝利の一念を燃え立たせ、勇気の波動を起こすのだ。時代の変化は激しく、苦労も多いだろうが、どこまでも信心で団結し、信心で勝とう。何事も強気でやり通す執念が勝負を決する。一人も残らず、自分に勝ち、社会で勝ち、人生で勝つ。功徳満開の春を迎えよう!
2023.3.12付 聖教新聞 池田先生 「四季の励まし」より
「走らない」
「二刀流」の大谷翔平選手は足も速いが、かつてプロ野球で"走らない"ことをめざした強打者がいた。1月に74歳で亡くなった門田博光さんだ。南海(現ソフトバンク)などで活躍。通算567本塁打は歴代3位、通算打点も3位、通算安打4位という大記録を残す 。
◆門田さんはプロ10年目の1979年、右アキレス腱の断裂という試練に遭う。再起へのきっかけは、担当した医師との会話だった。サンケイスポーツの追悼再録記事で知った。
◆絶望の中にいた門田さんに、医師は言った。「速く走れないのなら、ホームランを打てばいい。ホームランはゆっくり走ればいいんやから」。さらに「狙わないと、打とうという意思がないと、打てないんでしょ」と。門田さんは「よーし、やってやろう」、「必ず、もう一度ホームランを打つ」と懸命にリハビリに励んだ。
◆重いバットで重いボールを打つなど猛練習。フルスイングで"一発狙い"に徹し、大けがの1年後、41本塁打で復活。翌81年は42本で初の本塁打王に。88年には40歳で本塁打と打点の2冠王に輝き、「中年の星」と呼ばれた。
◆もうダメかと思った時、不屈の闘志で挑戦する——。門田さんの復活劇は、勝利のカギを教えてくれる。(光)
2023.3.9付 公明新聞 北斗七星
将棋の王将戦・名勝負に学ぶ
原点に立ち返り勇気の炎を
将棋の王将戦7番勝負が先月から始まっている。王将戦は、将棋の中で最高峰といわれる8大タイトル戦の一つ。本年は、史上最年少でタイトル五冠を持つ藤井聡太王将と、タイトル100期目に挑戦する羽生善治九段の戦いだ。
“羽生の挑戦”で思い起こされるのは、前人未到の七冠制覇に挑んだ1995年、96年の王将戦。谷川浩司十七世名人との対局だ。95年は阪神・淡路大震災で被災しながらも戦った谷川が勝利した。だが羽生は1年間、残り六つのタイトル全てを防衛し、翌96年に再び挑戦。史上初の七冠王となる。
羽生の偉業に盛り上がる世間とは反対に、将棋界は悔しさにあふれたという。“羽生一強”の事態に、「棋士、全てにとって屈辱です」と語る棋士もいた。最後の王冠を奪われた谷川にとっても「人生最大の屈辱」だった。その後、谷川は不調が続く。指し手に迷い、自身の将棋が指せない。深刻なスランプに陥ったのである。
そんな谷川に転機をもたらしたのは、将棋祭りで対局した子どもたちの姿だった。素直に将棋盤と向き合うひたむきさ、熱意に、自身の幼少の頃の原点――“将棋を指せる喜び”を思い出したのだ。
これをきっかけに、谷川は本来の将棋を取り戻す。そして同年11月、徐々に調子を上げて迎えた竜王戦で羽生に勝利し、タイトルホルダーへ返り咲いた(角川書店『復活』『集中力』)。
――どんな人も、順風満帆の時ばかりではない。思うようにいかず、落ち込む時もある。「自分なんて駄目だ」と、自分で自分を信じられなくなることがあるかもしれない。そんな時こそ「原点」に立ち返ることだ。挑戦する目的、初心の決意は何であったか。その模索が、行き詰まりを乗り越える希望や活力へとつながる。
池田先生は、若い友に、こう励ましを送った。「新しい希望を創り、新しい挑戦の意欲を生む“心の港”をつくることが大切」「原点を築いた人は強い。絶対に負けません。くじけそうになった時は、この原点に戻り、勇気の炎を点火し、新しい前進を開始していけるからです」と。
前進の途上では、目の前のことしか見えなくなることもある。だがそこで、「原点」に立ち返ることができれば、さらなる飛躍へと勇気を奮い起こせる。「伝統の2月」、新たな前進を開始したい。
2023.2.6付 聖教新聞 社説より