「虚報」という魔物

破 邪 顕 正
虚偽報道は、社会を混乱させる"魔物"である。
先ごろも、米兵が取り調べ中のイスラム教徒を侮辱したという
「ニュースウイーク」誌の誤報が引き金となって、死者まで出る暴動が起きた。
同誌は、記事の誤りを全面的に認め撤回したが、
中東各国首脳や読者からの数万件にのぼる激しい抗議が続いている。
その要因は、匿名情報に頼った事実確認の甘さにあった。
当初、「複数の情報筋」とされた情報源は、実はたった一人の政府高官で、
彼の記憶も曖昧だったという(読売新聞)。
こうした不祥事を防ぐべく、米国の各メディアは、
匿名扱いの理由を記事化し、複数の情報源でチェックするなど、
改革を始めている。当然の企業努カであろう。
「宇宙の道理は、すべてまずさきに事実があり、
そのあとで言論がうまれるのであり、さきに言論があって、
そのあとで事実が発生するのではない」(中国の孫文)からだ。
この点、日本の一部マスコミは質が悪い。
チェックどころか、匿名情報を装い、わざわざデマを捏ね上げ、
虚報をたれ流すならず者さえいる。
出所不明の怪情報で読者を誑かすインチキ雑誌は、
立派な"企業犯罪" "集団詐欺"だ。
学会誹謗のデマで、司法に厳しく断罪された某誌など、
人心を食い破る毒虫会社である。
デマは「最後には必ず事実の鏡によって正体を照らし出され
尻尾を引ききずって去ることになる」
とは魯迅の言。
企業責任に厳しい時代。デマを撒く出版社には、巨額の賠償金を科せ
これこそ、金儲けに目が眩んだ魔物の跳梁を食い止める早道だ。(掛水伸吾)
 【6月17日付 聖教新聞 破邪顕正より】