「創価教育学」

 校長先生は、全校児童の家庭を一軒また一軒と訪問。貧しくて学校に来られない子どもを直接励まして歩く。弁当を持参できない子どものために、ポケットマネーを割いて、芋や豆餅を用意してあげた。
▼後に創価教育学会を創立する牧口常三郎先生である。牧口先生は若き日から、教師の慈顔こそが子どもを喜々として学校に通わせる力である、と訴えた。慈愛にあふれた笑顔に迎えられる子どもたちは幸せだ。
▼小学生・中学生文化新聞の作文コンクールの審査が終わった。毎年、いじめをテーマにした作品も少なくない。「たった一人でも、味方になってくれたら、どんなにうれしいか」――『希望対話』の一節に出会い、いじめを受けている同級生の友人となり、友情の大切さを感じた少女。子どもを信じ、抱きしめてくれる家族の励ましで、つらい日々を乗り越え、負けない自分に成長できたとの作文も。
▼教育改革の必要性が言われて久しい。子どもが主役であることは当然だ。その上で、子どもたち自身の「幸福になる力」を引き出すために、大人に何ができるか。
▼まず、大人自身が成長することだ。そして、子どもと共に成長しゆく「教育のための社会」を作る。教育は手段ではない。大事な目的なのだ。(扶)