誰かのために

 生命の十界は一面、“人間の底力を発揮できる生き方の順番”という捉え方もできる。確かに、地獄界、餓鬼界、畜生界では前進の力は弱い。悟りが自身だけにとどまる声聞界、縁覚界でも、行き詰まりを感じることが多い。だが誰かのために行動する菩薩的生き方をしたとき、自身も不思議と想像以上の力が出るものだ。
 文豪トルストイは「われわれは他人のために生きたとき、はじめて真に自分のために生きるのである」(北御門二郎訳『文読む月日』筑摩書房)と。友のために行動する中で自身の宿命転換を果たしていく。学会活動の意義もここにある。
 トルストイは先述の言葉に続けた。「一見不思議に思われるけれど、実践してさえみれば、本当だということがわかるだろう」(速)

  2017.7.17付 聖教新聞 名字の言抜粋

「譬へば人のために火をともせば・我がまへあきらかなるがごとし」

  食物三徳御書 御書P1598