「生き方に貴賤はある」

よみうり寸評
<砂上の楼閣>----一見立派だが、基礎がもろいため長く維持できないこと、あるいは実際には実現不可能なこと。
<空中楼閣>----根拠のない架空の物事。想像で構築した物事。
◆問題の姉歯建築設計事務所耐震強度を偽造したマンション、ホテルの数々に、危うい楼閣の二つの例えを連想した。砂上、空中とは言わないまでも、危ういこと、ほとんどそれに近い感がある。
◆倒壊のおそれのあるマンション、ホテルの耐震強度のリストに唖然とする。強度が要求される基準の26%しかないもの、30、40%台がずらり。
◆この数字は大でたらめをやった1級建築士と彼の設計事務所自体の劣化度を示しているようにも思える。ことが露見しても、映像で見る彼に悪びれた様子のないのも不思議だ。
◆<法令順守>----ことあるごとにこの言葉が使われる。が、近ごろは<コンプライアンス>などという。気取って言うのか、順守の気もない目くらましか。カタカナ語の裏で法令違反が横行している。
◆ある職人さんが言ったそうだ。職業に貴賤はないが、生き方に貴賤はあるよね。
【11月22日付け 読売新聞 夕刊】


 私も仕事上、規模が小さくて比較にはならないが、構造計算等を行うことがある。しかし、設計条件に誤りはないか?入力にミスないか?等々、慎重の上にも慎重になる。また、過大じゃないかと思うぐらいに条件を付加する。そこには、設計金額の多寡とは関係がない。自分のやったことには責任がある、それが普通の発想ではないだろうか。寸評ではないが、生き方に貴賤はある。
 「百二十まで持ちて名を・くたして死せんよりは生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ」(御書P1173)