まだ努力とは呼べない

 福岡市のヤフードーム内にある「王貞治ベースボールミュージアム」。"世界の本塁打王"の軌跡が展示されている。その中で栄光の軌跡はもとより、選手の育成にかける、執念にも似た姿が感動的だ。
▼2006年7月、胃がんの宣告を受けた王氏は胃を全摘。術後すぐに歩行訓練。病室にケーブルテレビを設置し、チームの試合をチェック。覇気を感じない選手には、試合中に叱咤激励の伝言を、
▼王氏は語る。「努力が報われないことなどあるだろうか。報われない努力があるとすれば、それはまだ努力とは呼べない」(安枝新伍著『野球魂 素顔の王監督西日本新聞社)。あくなき向上心。妥協を許さない真剣さ――そんな王スピリッツが個々の選手の才能を伸ばし、チーム力の底上げにつながったといえる。
法華経の勧持品は、サンスクリット語で「絶えざる努力」との意。「不惜身命」が説かれている。仏法の真髄は、わが身を惜しまず、広布に進む行動にある。友の幸せのために――その尊い労苦があってこそ、自らの生命も磨かれる。
▼池田名誉会長は「いずこの分野でも、精魂を込めたものは永遠性の光を放っていくもの」と。人材育成は未来の勝利を開く要。後継の友を最大限に励まし、成長が光る夏としたい。(剣)

 友好期間もそろそろ終わりです。