六曜の力ラクリ

 結婚式などのお祝いごとは、大安にしようと思う人が多いものだ。一方、お葬式は友引の日が避けられる。大安や友引は、六曜という暦の情報だ。六曜は、いったいどのように決められているのだろうか。
 明治5年12月2日まで、日本は西洋とは異なる暦を使っていた。翌日の明治5年12月3日を明治6年1月1日として、西洋の暦に合わせた。以前の暦は、今では旧暦と呼ばれる。
 旧暦は、月の満ち欠けで日が決まる。新月なら1日、三日月なら3日。十五夜の満月なら15日だ。夜空を見上げて人々は、三日月なら「今日は三日」と、月を天然のカレンダーにした。その日が旧暦の何月何日にあたるかさえわかれば、六曜は簡単に出てくる。
 たとえば、旧暦の三月三日なら、三月の3と、三日の3を合計する。その合計値6を、6で割る。余りが0なので大安だ。つまり旧暦の月と日の数字の合計を、6で割った余りで六曜は決まる。
 余りが、0、1、2、3、4、5のとき、六曜はそれぞれ、大安、赤口、先勝、友引、先負、仏滅となる。今年の11月18日は、旧暦では10月25日。そこで、10+25=35。35を6で割れば5が余る。だから仏滅だ。
 月+日の合計値は、日の数が毎日1ずつ増えるので、ひとつずつ増加する。そこで六曜は、大安から仏滅までが6日周期で循環する。ところがたまにイレギュラーになる。先負のつぎは仏滅のはずが、大安になることもある。その場所こそ、旧暦の月が替っているところなのだ。
 世の中の神秘で不思議に思える現象も、数学できれいに説明できる場合がある。今日は大安、昨日は仏滅。六曜の一喜一憂も、カラクリがわかると見方が変わる。

 2022.11.18付 公明新聞 すなどけいより
 武庫川女子大学名誉教授 丸山 健夫