大衆とともに

 英国で1968年に、労働党内閣を倒すクーデターが計画され、そこに、第2次大戦の英雄であるマウントバッテン卿が関与していたとされた。しかし、彼は、民主主義を何より尊重するエリザベス女王の説得により、その企てを諦めたという。
◆「民主主義(デモクラシー)」の語源は、ギリシャ語の「デモス(人民)」にある。一部の権力者が国のあり方を決めるのではなく、国民が国のあり方を決めるのだ。政治の主役はあくまで国民である。
鎌倉時代に生きた日蓮大聖人は、為政者を諫めた「立正安国論」で、「くに」という漢字を書く際に、部首の「くにがまえ」の中に「民」という字を使っている。民主主義という概念がなかった時代に、民衆を中心に国を捉えていたことに驚く。
公明党創立者である池田大作創価学会名誉会長は、党の前身である公明政治連盟の第1回全国大会であいさつし、「あくまでも民衆の政治連盟として」「大衆に直結していってもらいたい」とし、党の原点である「大衆とともに」の立党精神を示された。
◆今、一部マスコミが、公明党の先行きが不透明だと報じているが、「大衆とともに」という不動の指針がある限り、党の未来に行き詰まりなどない。(正)

 2023.11.24付 公明新聞 北斗七星より

口は禍の門

 人間関係はちょっとしたことで壊れてしまう。職場や家族、近隣などで悩みを抱えている人も多いだろう。
◆「人間関係に関する調査」(クロス・マーケティング)によると、「とても重視している」「やや重視している」を合わせると68%、「リセットした/したい人がいる」は37%だった。人間関係を良好にするのも悪くするのも言葉のやりとりがきっかけとなる。
◆『余計な一言』(齋藤孝著)には、28の実例を解説し予防策が書かれている。例えば「何でもいいよ。〜でいいよ」は、言われた側が「どうでもいい」と、ひどく軽んじられたように受け取ってしまう危険がある。「〜で」を「〜が」に言い換えるようにする。
◆意外だったのが「頑張れ」。無責任に使うと「言われた側を疲れさせる言葉」になってしまうという。仕事であれば指示や要望を具体的に伝える、病人には禁句にしたほうがよいと。その上で、余計な一言を減らすためにコミュニケーションにおける「ディフェンス力が求められてる」としている。
◆"口は禍の門"である。長く続く友人・知人を大切にする上でも新しいつながりを築いていくためにも、自分が発する言葉に気を付けるよう心掛けたい。(越)

 2023.10.6付 公明新聞 北斗七星より

 「わざわいは口より出でて身をやぶる・さいわいは心よりいでて我をかざる。」 十字御書 御書全集P1492

サソリとカエル

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者プリゴジン氏の不可解な死は、プーチン政権による「暗殺」「粛清」「公開処刑」などと、さまざまな臆測を呼んでいる。
◆真相は闇の中だが、政敵や反体制派の不審死や暗殺を疑われる事件が続いてきただけに、政権が関与した可能性は高いとの見方が広がる。強権体制の冷酷で異常な"性格"が露呈したと思わざるを得ない。
◆名優オーソン・ウェルズの監督作品の中で語られる寓話を想起した。こんな話だ。サソリが、湖を渡りたいから背中に乗せてほしいとカエルに頼む。きっと君は刺すとカエルは断る。そんなことをしたら僕も溺れてしまう、安心してくれとサソリが言うので、カエルは承諾する。
◆ところが湖の真ん中でサソリは突然、カエルに毒針を突き立てる。水の底に沈みながらカエルはサソリをなじる。《なんてことするんだ。君も死ぬんだぞ》。するとサソリはこう答える。《でもどうしようもないんだ。これが僕のキャラクターなんだ。》

◆「悲劇だ。しかしほかに選択肢はなかった」。ウクライナ侵略を正当化するロシアの指導者はそう、うそぶいた。「法の支配」ならぬ、「人の支配」とも言うべき政治体制のおぞましさを感じる。(中)

 2023.9.6付 公明新聞 北斗七星より

 福島県の海産物を応援しようと思い、初めてふるさと納税をいたしました。

遊び心

 滑り台を滑り降りるカラスに出くわした。まるで遊んでいるようにしか見えない。以前、知らずに巣へ近づいて背後から低空飛行で威嚇されたことがある。以来、苦手だったが、思わぬ一面に興味をそそられた。
◆調べてみると、上昇気流に乗ってバランスをとったり、電線や枝に逆さまにぶら下がったり、雪の斜面を滑る光景まで目撃されているとのこと。いずれも生きるために必要とは一見思えない行動だ。
◆だが、意外にも動物は遊びによって認知能力を発達させているという。北アメリカに生息するハイイログマは、よく遊ぶ個体ほど長生きする。遊びを通して未知の課題や不確実な状況への対応力を身に付けるかららしい(グレッグ・マキューン著『エッセンシャル思考』高橋璃子訳)
◆人はどうなのか。オランダの文化史家ヨハン・ホイジンガは、人間活動の本質は遊びにあり、遊びは文化より古く、人類が育んだあらゆる文化は全て遊びの中から生まれたと指摘する(『ホモ・ルーデンス』里見元一郎訳)
◆遊びから文化が発展してきたのであれば、遊びは未来の創造にも通じる。「忙しくて遊んでる暇はない」。そんな頭を切り替えて、時にはカラスの遊び心に学ぶのも悪くない。(佳)

 2023.7.31付 公明新聞 北斗七星

二つの生き方

 植物は動くことができない。種子が落ちたのが、どんな場所であろうと、その場で一生を終えるしかない。そんな植物は、二つの生き方を両立させている。
▼一つは、自らが生息する環境の条件など、変えられないものは「受け入れる」。もう一つは、自分の体や成長の仕方など、変えられるものは「変える」。特に「雑草」と呼ばれる草花は変化する能力が高く、茎を縦に伸ばすか、横に広げるか、臨機応変に、したたかに成長するという。(稲垣栄洋著『「雑草」という戦略』日本実業出版社
▼建設会社に勤める壮年部員を試練が襲ったのは、リーマン・ショックが起こった2008年。世界的な金融危機の嵐によって、会社は経営破綻寸前にまで追い込まれた。絶体絶命の中で、壮年は“信心で乗り越える!”と腹を決めた。
▼改めて顧客に誠実に接し、信頼を積み上げた。学会活動を一歩も引かず、地区部長として奮闘を重ねた。やがて、会社は金融危機の影響を乗り越え、発展の軌道を進んでいる。
▼池田先生は長編詩「雑草」に詠んだ。「秋霜にも慄えず 不撓の意志と 天性のしなやかな反発力をもって かれは愉快に生きぬく」。いかなる逆境でも、“今、ここで勝つ”と決めた人には、苦闘も成長の因となる。(子)

 2023.7.28付 聖教新聞 名字の言

学ばない者

 日本最年長の現役プロサッカー選手・三浦知良氏は、こうつづる。「学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っている者はだれのせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい」。56歳の今も活躍できる要因は、常に成長しようと学ぶ謙虚な姿勢にあるようだ。
◆近年、国会や地方議会での議席減が目立つ共産党志位和夫委員長は雑誌のインタビューで、党勢低下について、田原総一朗氏に「何で減ってる?」と問われ、「最大は1980年の社公合意で、共産党排除の体制が作られたことだ」と答えた。
◆目下の不振が、40年以上も前に結ばれた社会党公明党の政権合意のせいだと真顔で言い放つ。”共産党には何ら問題はない。悪いのは敵対勢力だ”と言わんばかりである。
◆そんな独善性は、党の行く末を案じて改革を訴える古参党員2人をバッサリと除名したことにも顕著だ。この処分を「異論封じ」などと批判した新聞各紙の論評を真摯に受け止めるどころか、躍起になった。
◆党内外からの忠告に「反共攻撃」と決め付けて、反撃へ学ぼうとせず、都合の悪いことは"他所のせい"にする。これでは、共感が広がるはずもなかろう。(之)

 2023.7.22付 公明新聞 北斗七星

 

地道な挑戦

「未来の果」は
「現在の因」にある。
今日の地道な挑戦が
栄光の歴史を築く。
使命の舞台で朗らかに!

 2023.7.21付 聖教新聞 わが友に贈る

「過去の因を知らんと欲せば其の現在の果を見よ未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」 開目抄 御書全集P231