平和への使命

 「自分が物理を研究しているあいだに、核兵器のために人類が滅びてしまっては困る。人類の半数以上は女性なのだから、世界連邦だけは一生懸命にやってほしい」(『苦楽の園』)。
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士が、スミ夫人に託した言葉である。夫の遺志を継いで、核廃絶を訴え続けた夫人が、先日の「母の日」に逝去した。「心で思い、頭で考えているだけではだめです」と、96歳で亡くなる直前まで行動し続けた。
▼スミ夫人が注目していたのが、学会婦人部の運動である。「ともに世界平和を願うものとして、とても心強い存在です」。池田名誉会長の平和行動を陰で支えてきた香峯子夫人についても、「同じ女性として、感動を覚えます」とも。
▼婦人部が結成された昭和26年は、まだ占領下にあった。戦後の混乱が続いていた。前年には朝鮮戦争が勃発。結成式に集った女性の中には、「朝鮮の婦人」の姿も。戸田会長に祖国の平和を切々と訴えている。
▼結成時から平和への使命を担っていた婦人部は今年55周年。ロシアの芸術家シードロフ氏は、創価世界女性会館を訪れた際、「男の起こす嵐を止めるのが女性なのです」と。「世界平和の母」たちの運動にますます期待が高まっている。 (葉)