題目は「前進」の力!「勝利」の力!

一生成仏抄  建長7年 34歳

深く信心を発して日夜朝暮に又懈らず磨くべし何様にしてか磨くべき只南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを是をみがくとは云うなり(御書P384 L4〜5)

現代語訳

 深く信心を起こし、昼も夜も朝も晩も常に懈らず、自分の生命を磨くべきである。どのようにして磨けばよいのであろうか。ただただ南無妙法蓮華経と唱えていくことを磨くというのである。


題目は「前進」の力「勝利」の力

 本抄は、建長7年(1255年)に鎌倉で著され、富木常忍に与えられたお手紙と伝えられています。富木常忍は立宗間もない時期からの門下で、下総国(現在の千葉県北部、茨城県の一部)に住んでいた武士です。
 池田先生は『一生成仏抄講義』の中で、次のように言われています。「日蓮大聖人の仏法は、永遠に崩れない最高の幸福境涯を築き、自他ともに無上の人生を送りゆく希望の宗教です。誰人も、皆、仏になれる。しかも、この身そのままで、仏になれる。そして、何よりも、この一生のうちに、必ず仏になれる」と。
 今回学ぶ一節では、生命を磨く修行は唱題行であり、その持続こそが一生成仏を可能にすることを明かされています。
 衆生は本来、妙法の当体です。しかし、無明(妙法を信じられず理解できない迷い)に覆われると、妙法の力を発揮することはできません。このような状態を「闇鏡」、すなわち曇って物を映さない鏡に譬えて、生命の曇りを磨く方法が唱題であると教えられています。
 私たちの唱題行は、無明の汚れを払い、仏性の輝きを増していく、生命錬磨の実践です。大聖人は、何があっても深い信心に立ち、日々たゆみなく唱題行に励んでいきなさいと仰せです。
 池田先生はこの一節を通して「題目は『前進』の力です。題目は『勝利』の力です。あらゆる戦いは、まず祈ることから始まります。題目を唱え抜いた人には、誰もかないません。私たちは、どこまでも日夜朝暮にたゆまず題目を唱えながら、我が生命を鍛え抜いて、勝利また勝利の人生を築き上げていこうではありませんか」と指導されています。

愚痴を排し、挑戦の人生をどこまでも

 福島県郡山市の桑名美淳子さん(副本部長)は、あらゆる宿命の嵐を、強い祈りで乗り越えてきた人です。
 昭和51年に男子部で部長として戦っていたご主人と結婚しました。
 ご主人は、生花店を経営していましたが、売り上げが低迷し、年々、借金が重なっていくばかりでした。桑名さんご夫妻は、「もう祈るしかない!」と決意し、1日5時間、10時間と真剣に唱題しました。
 祈るうちに、「店でお客さんを待つだけでは、苦境は打開できない。ならば、こちらからお客さんの方に行こう」と、小さな花束をたくさん作り、車に積んで売り歩きました。すると予想外の売れ行きとなりました。さらに当時としては画期的なスーパー等での委託販売を始め、4、5人雇っても人手が足りないほど売り上げが伸びたのです。
 苦境から一変、昭和54年には家を新築することもできました。
その後、数々の困難に遭遇しましたが、どんな時も家族一丸となって唱題し、乗り越えてきました。
 ところが、平成12年に副圏長として頑張っていたご主人が脳内出血で入院しました。その時は、早期治療の甲斐あって後遺症もなく退院しました。しかし、その後も、脳内出血を繰り返し、4度目の出血で、重度の左半身麻痺となり、寝たきり状態になってしまったのです。この時ばかりは、「私の信心の姿勢が、おかしいのだろうか」などと考え、落ち込んだそうです。
 指導を求める思いで、聖教新聞を読むと、「いくら愚痴をこぼしていても、つまらぬ事でくよくよしても、どうしようもないではないか。御本尊に題目をあげて、自分の境遇で、自分の立場で生ききっていけ!」と池田先生が紹介してくださった戸田先生の言葉が目に入りました。その瞬間、心の闇が晴れた思いで、勇気を取り戻し、その日から、毎日5時間の唱題を決意し、祈り続けました。
 ご主人は徐々に回復し、自分の足で歩けるまでになりました。そして本年2月には、介護士の青年を入会に導いたのです。
 桑名さんは、ご主人の介護をしながらも、聖教新聞を配達し、毎日1万遍以上の唱題をされています。
 家業の生花店は、男子部で部長を務めている長男が継ぎ、地元の商店街の人たちから、「母子で商売ができてうらやましいね」と言われています。
 長年、自宅を拠点にされ、題目を唱え抜く、こうした桑名さんご夫妻の姿を見て、6人のお子さん全員が広布の庭で戦う人材に成長しています。
 8月は未来部躍進月間です。唱題根本に師弟不二の生き方を、そして勝利の人生を継承すべく、福島婦人部は「親から子、子から孫への広布旅」を合言葉に後継の人材の陣列をこの地に築いていきます。

 【大白蓮華 2008-8 P84〜P87 婦人部グループ学習の参考に より】