まだまだいっぱい話したいことがあったのに

 <冷たくなった/あなたの心/寝てる間に/取り出して/そーっとレンジで/チンしたい>(『愛するあなたへの悪口』毎日新聞社
◆人が嫌がる悪口は困るが、こんなのもあるのかと笑った。第1回「愛するあなたへの悪口コンテスト」の大賞作品(静岡市の戸塚春代さん)。「"愛"という餡を"悪口"という皮でくるんだ」と編者の村松友視(「示」の右に「見」)氏
山本周五郎の『人情裏長屋』(新潮文庫)に「女房に甘次郎」と呼ばれる浪人の話がある。洗濯や買出しをする彼は、女房への気遣いぶりからそう呼ばれていたが、誰も彼女を見たことがない。
◆ある日、地元の藩の事件を彼が解決する。礼に彼の住まいを訪れた藩の重役が妻を紹介される。が、そこにあったのは仏壇。「甘次郎」と言われた振る舞いは、苦労の中で逝った妻の俤を偲んでのことだった。
◆夫婦の話に思いが至ったのは、朝日新聞の『ひととき』で「もっと話がしたいよ」という投稿(三重県の主婦)を目にしたからかも知れない。急病で深夜に病院に運び込まれた夫が命を取り留めたものの人工呼吸器をつけたまま意識なし、
◆彼女は言う「ねえ、目を開けてよ。話をしようよ」「いくら話しかけても、夫に何の反応もないのが悲しい。まだまだいっぱい、夫と話したいことがあったのに」夫婦の絆を見た気がした。連れ合いを大切にしたい。(六)

 【4月24日付 公明新聞 北斗七星】


 先生が会長を勇退された24日の本日に、わざわざこの北斗七星をUPしなくてもよいものを、何故か書き込んで、そして涙ぐんでいました。
 女々しいですね(笑)